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RC造マンション(東京都) 左:施工後 下:施工前
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ポリオレフィン樹脂とはポリエチレン、ポリプロピレンを代表とする極めて耐久性の高い樹脂です。スーパーマーケットで食品を包装している袋やラップは全てポリオレフィン樹脂です。酸やアルカリに強く全く毒性がないため広く食品、医療、化学分野で利用され、その生産量は世界の樹脂生産の約半分を占めます。
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ポリオレフィンの利用例
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国内ではあまり知られていないポリオレフィン防水シートですが、欧米での歴史は古く 60年代から TPO(Thermoplastic Polyolefin)防水シートとして広く流通しています。建物のみならずトンネルの防水にも使われ東京湾アクアラインの防水にも利用されています。
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国際展示場の屋上防水、ドイツ
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トンネルの防水工事
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ここでは一般的な屋上防水材であるアスファルト、塩化ビニル(正確にはポリ塩化ビニル)とPOLYFINを比較してみます。
(1)弾性
屋上コンクリートは毎日太陽の熱により伸び縮みを繰り返します。屋上防水材として耐候性の 高い無機物(ガラス、セメントなど)を使用せず、水や紫外線に弱い有機物(アスファルト、 塩化ビニルなど)を使用するのは弾性(伸びる性質)が必要であるためです。
ここで各素材の弾性を比較してみましょう。
アスファルト:15% 塩化ビニル:150% POLYFIN:500%
(2)耐候性
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アスファルト |
: |
天然物なので様々な分子構造がありますが、特に熱と紫外線に弱く、不飽和結合を多く含むロットのものほど早く劣化します。 |
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塩化ビニル |
: |
可塑剤(樹脂を柔らかくする薬品)を多く含み、これが水や紫外線の影響で表面に析出すると収縮やジョイントの剥離が起こります。 |
| POLYFIN | : | 水、熱、紫外線、オゾンなどの外部要因に全く影響を受けません。 |
(3)ジョイント
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アスファルト、 |
: |
材料の経年劣化とともにジョイントが剥離します。 |
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POLYFIN |
: |
熱溶着により一体化したジョイントは剥離することがありません。 |
(4)環境に優しい
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アスファルト |
: |
廃棄物処理はマニュフェストを必要とします。 |
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塩化ビニル |
: |
同様にマニュフェストを必要とします。不完全燃焼によりダイオキシンが発生します。 |
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POLYFIN |
: |
ポリ袋と同じ素材なので燃えるゴミとして扱えます。 |
2001年3月に施工されたポリフィン屋上防水からサンプルを採取し2015年7月に試験を行いました。
暴露した期間は14年4か月です。
外観 : |
採取したサンプルを高圧洗浄し外観を検査しましたが劣化による損傷等は全く見られませんでした。 |
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引張試験: |
15年近く風雨に晒されたポリフィンですが引張試験においても劣化が見られず、出荷時の製品規格値を満たす値を示しました。 |
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溶着性 : |
暴露後のポリフィンに新しいポリフィンが問題なく接着しました。これは劣化による物性変化がないためです。 |
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(物性値)
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| 素 材 | : | エチレンコポリマー瀝青(ECB)色:黒 |
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製品形状 |
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2.0mmx1,050mmx20m 比重:0.97g/c㎥ |

(物性値)
| 引張強度(DIN EN12311-1 Method B) | : | ≧4N/m㎡ |
| 破断伸張度(DIN EN12311-1 Method B) | : | ≧400% |
| 溶着部せん断強度(DIN EN12317-2) | : | ≧300N/50mm |
| 引裂抵抗(DIN EN12310-2) | : | ≧200N |
| 耐根性(prEN 13948) | : | 適合 |
| 形状安定性(DIN EN 1107-2) | : | ≦0.5% |
| 低温屈曲性(DIN EN 495-5) | : | ≦-20℃ |
| 瀝青との反応性(prEN 1548) | : | 適合 |
| 水密性(DIN EN 1928 Method B) | : | ≧10kPa |
| 水蒸気透過性(DIN EN 53122) | : | 0.2g/㎡/day |




























